ブースター「エンテイさんも行きましょうよ」
エンテイ「いや、俺フレアドライブもらったし……」
ブースター「え、いつのまに……」
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ブースター「なんで言ってくんなかったんすか……」
エンテイ「ごめん、言い出せなくて」
ブースター「ずっとエンテイさんのこと仲間だと思ってたのに……」
エンテイ「うん、ブースター君がそういうふうに思ってるからなおさら……」
ブースター「なんすかそれ……馬鹿みたいじゃないッスか俺だけ……」
エンテイ「すまん……」
ブースター「じゃあもういいっすよ……俺だけで行ってくるんで……」
エンテイ「殴りこみなんて物騒なことはやめろよ」
ブースター「はあ、なんすかそれ……自分だけフレドラ貰ったからって余裕かましちゃって」
エンテイ「べつにそういうわけじゃあ……」
ブースター「じゃあどういう訳なんです?」
エンテイ「どうって言われても……」
ブースター「炎物理最強の座をかっぱらったヒヒダルマが憎くないんすか? どうなんすか?」
エンテイ「確かに生意気だなあとは思うけど、でも暴力は……」
ブースター「はあ、俺達ポケモンなんスよ。バトルしてなんぼじゃないですか。何が暴力すか」
エンテイ「ブースターくんもそのうちフレドラ貰えるよ」
ブースター「はあ?馬鹿にしてんすか?もう本気で怒りますよ?」
エンテイ「いや……すまん」
ブースター「もういいです、見損ないました。それじゃ」
エンテイ「イッシュ土産よろしく……」
ブースター「うるせえよ」
ブースター「船でイッシュにやってきた」
ブースター「噂に聞いたとおりの大都会だな」
ブースター「すげえ高いビルとかいっぱいあるし」
ブースター「人間もあくせくしてて落ち着かないし」
ブースター「ジョウトやシンオウの田舎とは大違いだな」
ブースター「いやいかん、こんな田舎っぺ臭い感慨に浸っていては」
ブースター「俺は今からこのイッシュでヒヒダルマを殲滅し」
ブースター「炎物理最強の座を奪い返すという大きな目標があるんだ」
ブースター「いざゆかん新天地へ」
ブースター「とは言っても、どこへ行けばいいのか」
ブースター「まあいいか、そのへん適当に散策しよう」
ブースター「まずい、道に迷った」
ブースター「どこなんだ、ここは……さっぱりわからん」
ブースター「えっと、あっちにポケモンセンターがあったから……」
ブースター「うーん、地図を見てもさっぱりだ」
ブースター「ヒヒダルマも全然見かけないし……」
ブースター「どこに生息してるのか調べてくればよかったな」
ブースター「腹が空いたな……」
ブースター「寒くなってきたな……もう夜か」
ブースター「あーあ、イッシュまで来て何やってんだ俺は」
ブースター「ヒヒダルマ狩りなんてやめてもう帰ろっかなー」
ドレディア「ヒヒダルマ狩り、ですか?」
ブースター「うわっ!」
ドレディア「あ、すみません……」
ブースター「なんだアンタ」
ドレディア「ごめんなさい、ヒヒダルマ狩りっていう言葉が聞こえたので」
ブースター「それがどうしたんだ?」
ドレディア「あ、私ドレディアという草タイプのポケモンなのですが」
ブースター「うん」
ドレディア「昨今の炎タイプや虫タイプの急激な強化によって草タイプは肩身の狭い思いをしてるんです」
ブースター「へえ」
ドレディア「そこで炎や虫のポケモンを殲滅しようということになったのですが」
ブースター「はあ」
ドレディア「私が貧乏くじを引いてしまって……」
ブースター「なんだ、あんた一人でイッシュの炎と虫を殲滅するつもりだったのか?」
ドレディア「そうなんですけど、どう考えても無理なので、途方に暮れてたんです」
ブースター「そりゃあ無理だろうな」
ドレディア「あの、良かったら手伝っていただけませんか? あなたもヒヒダルマを殲滅しようとしてたんですよね」
ブースター「ああ、どうやら目的は一緒みたいだし協力してやるよ、俺もどうすればいいのか困ってたとこだしな」
ドレディア「あ、ありがとうございます!助かります」
ブースター「で、ヒヒダルマはどこにいやがるんだ?」
ドレディア「ヒヒダルマは野生では出ないんですよ」
ブースター「なに、そうなの?」
ドレディア「はい、でも進化前のダルマッカがその先の砂漠にいます」
ブースター「ほう」
ドレディア「そのダルマッカたちを皆殺しにしましょう」
ブースター「そうだな、ダルマッカを滅ぼせばヒヒダルマもいなくなる」
4番道路。
ブースター「う、予想以上に砂嵐が激しいな」
ドレディア「砂嵐といえば砂パってウザいですよね、殺したくなります」
ブースター「君意外と過激だね。で、どうすればいい?」
ドレディア「そうですね、実は西のほうが海になってるんですよ」
ブースター「ふうん」
ドレディア「ブースターさんは『吠える』を使ってダルマッカ共をここまで追い立ててきてください」
ブースター「それで?」
ドレディア「そこで私が『甘い香り』で海までおびき寄せて、海の中にたたき落として一網打尽です」
ブースター「なるほど、そりゃいい作戦だな」
ドレディア「ではブースターさん、お願いします」
ブースター「まかせとけ、フレドラは撃てないが吠えるには自信がある」
ドレディア「頼もしいです」
ブースター「くっ、砂嵐が目に沁みるぜ」
ズルッグ「お、なんだあのポケモン」
マラカッチ「見たことねえやな」
ダルマッカ「よそもんだべ、よそもん」
ブースター「ダルマッカ発見だ、『吠える』!」ワオーン
ズルッグ「ひいい、吠えられた!」
マラカッチ「いやー、逃げろ逃げろ」
ダルマッカ「怖いべー怖いべー」
ブースター「あ、ダルマッカ以外のも行っちゃった……まあいいか」
ブースター「この調子で砂漠中を回って吠えまくれば」
ブースター「ダルマッカたちを殲滅できる」
ブースター「それはつまり炎物理最強のヒヒダルマを滅ぼせるということ」
ブースター「ふふふ、ドレディアさんと組めてよかったぜ」
ダルマッカ「なんだあいつ」
ダルマッカ「独り言いってる」
ダルマッカ「きもちわる」
ブースター「あ、またいた」ワオーン
ダルマッカ「ひいいい!」
ブースター「よし、これで全部かな。もうポケモンの姿も見えなくなった」
ブースター「ドレディアさんのとこに戻ろう」
ドレディア「あ、ブースターさん」
ブースター「おお、どうだ?ポケモンたちは……」
ドレディア「はい、うまいことこっちに集まってくれてます」
ブースター「そうか、よかった」
ドレディア「では甘い香りを使って、奴らを海まで……」
ブースター「え? ちょっとまてよ、ダルマッカ以外のポケモンもたくさんいるけど」
ドレディア「面倒なのでまとめて殺っちゃいましょう」
ブースター「はあ? おいおい、それは流石に……」
ドレディア「は? あなたがダルマッカだけを連れてきたら良かったんじゃないんですか?
ここにダルマッカ以外のポケモンがいるのはあなたのミスなんじゃないんですか? え?」
ブースター「うっ……はい」
ドレディア「分かればいいんです、じゃあ始めますよー」
ブースター「何この人超こええよ」
.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:*・
ダルマッカ「ん?なんかいい匂いしね?」
マラカッチ「向こうの方からだべ」
ズルッグ「おー、なんか甘い匂いやで」
ダルマッカ「いってみるべ」
マラカッチ「嗅いでたら頭がぼうっとしてきたばい」
メグロコ「にしてもええ匂いじゃ」
ダルマッカ「自然と足があっちへ行くのう」
ズルッグ「まあええばい、いいにおいじゃきん」
ドレディア「ふふ、いい感じに誘われてきてますね」
ブースター「この砂漠のポケモンは全滅してしまうのか……」
ドレディア「私たちはこれから全ての炎と虫ポケモンを滅ぼして回るんです。多少の犠牲はやむを得ません」
ブースター「そういう問題かなあ」
ドレディア「もうすぐ奴らが海辺に到達します。一匹残らずたたき落としてください」
ブースター「それも俺がやんのかよ」
ドレディア「は?」
ブースター「やります……」
ブースター「でんこうせっか!」
ダルマッカ「うわっ、なんだ!?」ボチャッ
ダルマッカ「ひいい、助けてくれええ!」ドボン
ダルマッカ「海はいやじゃー、いやじゃー」ザブザブ
ダルマッカ「死ぬー!死ぬー!」ドボチャ
マラカッチ「ひい、なんだこいつ!」
メグロコ「助けてくれー、逃げろー」
ズルッグ「落ち着け、奴の狙いはどうやらダルマッカだけだ」
マラカッチ「このやろう、ダルマッカたちに何しやがる!」
メグロコ「お前が海に落ちろ!」
ズルッグ「この殺人鬼め!」
ブースター「痛い痛い、やめろ!俺はダルマッカを殲滅しないといけないんだ!」
ダルマッカ「だずげてくれええ」
ダルマッカ「バスラオに噛まれるー!」
ダルマッカ「ぎゃああ、プルリルに引きずり込まれるー!」
ダルマッカ「溺れ死ぬー!」
ブースター「おらっ、落ちろ落ちろ!炎物理最強は永遠にこの俺なんだよ!」
ドレディア「ブースターさん、何やってるんですか、ダルマッカ以外も全員皆殺しにしてください!」
ブースター「バカ言え、関係ない奴まで殺せるかよ。それにマラカッチはお前らの仲間じゃないのか」
ドレディア「あっ、そういえばそうでしたね」
ブースター「ふう……なにはともあれ、これでダルマッカを殲滅できた」
ドレディア「良かったですね」
ブースター「これで図鑑からダルマッカとヒヒダルマの名は永久に消滅するだろう」
ドレディア「私としても嬉しいですよ」
ブースター「俺も炎物理最強として胸をはれるというもの」
ドレディア「おめでとうございます」
ブースター「いやあ、よかったよかった」
ドレディア「そうですねー」
ブースター「じゃあ俺はもう地元に帰るから、それじゃ」
ドレディア「は? 何言ってるんですか?」
ブースター「ん?」
ドレディア「言いましたよね、私に協力してくれるって。
イッシュの炎と虫を残らず根絶してくれるって」
ブースター「えっ……俺はただヒヒダルマを……」
ドレディア「ついてきてくれますよね」
ブースター「………・はい……」
ブースター「で、次は誰を殲滅しにいくんだ」
ドレディア「そうですねー、ヤグルマの森では今頃私の仲間が虫ポケモンと戦争してるはずなので」
ブースター「イッシュが修羅の国というのは噂通りだったようだな……」
ドレディア「私たちはタワーオブヘブンに向かいましょうか」
ブースター「タワーオブヘブン?」
ドレディア「はい、そこにはヒトモシというポケモンが生息しています。ゴースト、炎タイプの」
ブースター「珍しいタイプの組み合わせだな」
ドレディア「そのヒトモシが進化してシャンデラになると、なんと特殊攻撃145にもなるんですよ」
ブースター「特攻145!? もはや禁止伝説レベルじゃないか、それ……」
ドレディア「そうなんです、私たちにとっては迷惑極まりない。だから殲滅します」
ブースター「なるほど……特殊型とは言え、そこまで強い炎ポケモンがいると俺の地位も脅かされるな」
ドレディア「ランダムマッチでは3人に1人はシャンデラ使ってますよ」
ブースター「な、なに!?俺を使ってる奴なんて、20人に1人いるかどうかなのに……」
ドレディア「悲しいですね」
ブースター「シャンデラの存在は見過ごせないな、タワーオブヘブンに行くぞ!」
タワーオブヘブン。
ブースター「なんか陰気な場所だなあ」
ドレディア「死んだポケモンを葬るための場所ですからね」
ブースター「ふうん、ゴーストポケモンが棲みつくわけだな」
ドレディア「エスパーポケモンもいるんですけどね。名前忘れましたけど」
ブースター「しかし……人間がやたらと多くないか?」
ドレディア「ああ、ここは特攻種族値振りの名所なんですよ」
ブースター「墓でそんなコトしていいのか」
ドレディア「有名なトレーナーも多く利用してるみたいですし」
ブースター「ふうん。で、どうやってヒトモシを滅ぼすんだ」
ドレディア「私は『いやしのねがい』という技を使えるんです」
ブースター「ほう」
ドレディア「上手くいえばその技でゴーストポケモンを成仏させられるかも知れません」
ブースター「ほんとに上手く行くのか?」
ドレディア「やってみなければわかりませんよ」
ドレディア「とりあえず屋上まで行きましょう」
ブースター「屋上に何があるんだ?」
ドレディア「鎮魂の鐘があるんです。屋上でそれを鳴らしてヒトモシの気を引きます」
ブースター「ふむ、意識をこちらに向けて、いやしのねがいで……」
ドレディア「そう、成仏させるんです」
ブースター「さっきよりは平和なやり方だな」
ドレディア「私もあまり手荒な真似はしたくないですからね」
ブースター「ほんとかよ……」
ドレディア「さあ行きますよ、ヒトモシたちを消滅させに」
ブースター「おう」
「ヒトモシたちを消滅させる……ですって?」
ブースター「!? なんだ、あんた?」
シキミ「私はシキミ、四天王のシキミです」
ブースター「四天王? 四天王がこんなとこで何を」
ドレディア「この人はゴーストタイプのエキスパートなんですよ」
ブースター「なにっ」
シキミ「そうです、だからヒトモシを消滅させると聞いては黙っていられません」
ブースター「ちっ、妙な邪魔がはいっちまったな」
シキミ「ヒッキーのカトレアちゃんの代わりに努力値振りに来ましたが、
あなたたちのような不届きなポケモンを見つけたからには」
ブースター「見つけたからには、どうしようってんだよ」
シキミ「私がその野望を打ち砕いてみせます! 行っちゃってくださいシャンデラ!」
シャンデラ「イエーイ」
ブースター「くっ、こいつがウワサの特攻145か」
シャンデラ「おっ、お兄ちゃんワシのこと詳しいやんか、嬉しいね」
ブースター「おいどうすりゃいいドレディア……ドレディア?」
シャンデラ「ドレディア?そんなんどこにおんねん」
ブースター「あっ、あいつ一人で逃げやがったな!ちくしょう!」
シキミ「シャンデラ、『だいもんじ』です!」
シャンデラ「おらあっ、特攻145のだいもんじや!」 ○++○ 三 大
ブースター「ばーか、そんなもん効かねえよ」
シャンデラ「なんやて?」
ブースター「俺の特性は『貰い火』だ! 俺の炎技強化してくれてありがとよ!」
シャンデラ「くっ、しまった!」
ブースター「おらあっ、攻撃種族値130からの『ほのおのキバ』(威力65)をくらえ!」
シャンデラ「うわああ……なんちゃって、実はワシも貰い火なんや」
ブースター「な……なん……だと」
シャンデラ「おらっ、シャドーボールや!」
ブースター「うわああっ!」
シキミ「そういえば本物のだいもんじがもうすぐですね」
シャンデラ「今そんなんどうでもええがな」
ブースター(ううっ……強い……さすが四天王だ)
ブースター(俺の攻撃技はほのおのキバと馬鹿力だけ……
どうあがいてもシャンデラには通用しない……!)
ブースター(あ、そういえばでんこうせっかもあったな……)
ブースター(でもどちらにせよシャンデラには通用しねえ……)
ブースター(こうなったら、吠えるで時間稼ぎをしつつ逃げるチャンスを……)
シャンデラ「ん? なんや?」
シキミ「どうしました?」
シャンデラ「なんか鐘の音せえへんか」
シキミ「これは鎮魂の鐘の音……」
シャンデラ「それに、なんか体が変な感じすんねん」
シキミ「シャンデラの体が光りに包まれて……いや、周りのヒトモシたちも」
ブースター「こ、これはまさか」
シャンデラ「あー、なんかええ気持ちやでえ……川の向こうでおばあちゃんが手招きしとるわあ……」
シキミ「何言ってるんですか、正気に戻ってください、シャンデラ!」
ブースター「ああそうか、ドレディアは逃げたんじゃなくて先に屋上に行って……」
シャンデラ「あー……これが極楽っちゅうやっちゃなあ……」
シキミ「シャンデラー!」
リグレー「お、ヒトモシたちが消えちゃった」
リグレー「マジかよ、もう肩身狭い思いしなくて済むな」
リグレー「ゴーストタイプまじうぜえからな」
リグレー「今日からここは俺達の城だぜ」
ブースター「なんだこいつら、どっから湧いてきた」
シキミ「ううう……シャンデラが成仏しちゃった……ヒトモシたちも……」
ブースター「へへ、どうだ! これが炎物理最強の力だぜ!」
シキミ「ゆ、許せない! 炎物理最強だかなんだか知りませんけど、
チャンピオンに言いつけてやりますからー!」
ブースター「へっ、勝手にしな。イッシュの四天王もたいしたことねーなー」
ブースター「さて、ドレディアはまだ屋上かな」
ブースター「迎えに行ってやるか」
屋上。
ブースター「はあ、疲れた……」
ブースター「エレベーター付けとけよな、まったく」
ブースター「えー、ドレディアは……あ、いた」
ブースター「おいおいドレディア、何寝てんだよ」
ブースター「こんなとこで寝てたら風邪ひくぞ」
ブースター「おい起きろって」
ブースター「おい、ドレディア?」
ブースター「なあ目覚ませって……」
ブースター「起きろよ、おい!」
ブースター「う、嘘だろ……おい!」
ブースター「ドレディア! ドレディアー!」
ブースター「嘘だろ、なんでこんな……」
マグカルゴ「何を騒いどるのかね」
ブースター「ま、マグカルゴ!?」
マグカルゴ「ここは魂を鎮めるための場所……そんなに騒ぐもんじゃない」
ブースター「マグカルゴはイッシュにはいないはずだが……何でこんな場所に?」
マグカルゴ「墓参りだよ。そして……復讐のためだ」
ブースター「復讐……?」
マグカルゴ「それより、何を騒いでいたんだ?」
ブースター「ああっ、そうだ、ドレディアが倒れて動かなくなって、目を覚まさないんだ」
マグカルゴ「ふむ……」
ブースター「死んだのか?」
マグカルゴ「いや、まだ息はある。ただ瀕死になっただけだな」
ブースター「そ、そうか、良かった」
マグカルゴ「しかし傷一つない。なぜHPがゼロになったんだ?」
ブースター「わからん、ここに来たときには、もう……」
マグカルゴ「なにか変わった技を使わなかったか?」
ブースター「変わった技……あ、いやしのねがい?」
マグカルゴ「なるほど、そのせいだな。いやしのねがいは使うと瀕死状態になる」
ブースター「なっ、そうだったのか……自分の身を犠牲にしてまで、そんな大技を……」
マグカルゴ「ちょうど元気の塊が余っている。これを使おう」
ブースター「ありがとう、マグカルゴ」
ドレディア「う……うーん……」
ブースター「あっ、目覚めた」
ドレディア「あっ、ブースターさん……上手くいきましたか?」
ブースター「う、上手くいったけど……でもそういう問題じゃないだろ!」
ドレディア「え?」
ブースター「瀕死になる技なら最初にそう言えよ、心配するじゃないか」
ドレディア「ああすみません、言うの忘れてました」
ブースター「忘れるなよそんな大事なこと」
ドレディア「特性マイペースなもので。常に自分のペースで生きていたいんです」
ブースター「そんなモットーは捨てろ」
ドレディア「あの、ところでそちらの方は?」
ブースター「ああ、この人はマグカルゴだ。ジョウトの炎ポケモンだ」
ドレディア「ジョウトのポケモンが、なぜイッシュに……?」
ブースター「復讐のため……らしいけど」
マグカルゴ「まああんまり深くは詮索しないでくれたまえ。ところで君達は何をしてるんだ」
ブースター「俺は炎物理最強の座を奪い返すためヒヒダルマを殲滅しに来た」
ドレディア「私は草ポケモンの地位向上のために炎と虫のポケモンを滅ぼしています」
マグカルゴ「ほう、なるほど……」
ブースター「で、俺もそれに付き合わされてるんだ」
マグカルゴ「もしよければ、私も一緒に連れていってくれないか?」
ドレディア「え、仲間が増えるのは心強いですけど」
ブースター「復讐はいいのか?」
マグカルゴ「ああ、私たちの行き着く先はきっと同じだ。ならば一緒に行動した方がいい」
ブースター「ふうん……?」
マグカルゴ「それで、これからどこに向かうんだ?」
ドレディア「チャンピオンロードです。アイアントを殲滅します」
チャンピオンロード。
ブースター「ここがチャンピオンロードか」
マグカルゴ「ふむ、なかなか雰囲気のいい場所だな」
ドレディア「この洞窟全体がアイアントの巣になってるんです」
マグカルゴ「アイアントというのは、どういうポケモンなのだ?」
ドレディア「虫鋼タイプのポケモンです。素早さと物理攻撃が高く、さらに『はりきり』で火力を高めてきます」
ブースター「なんだ、虫鋼なら炎技4倍じゃないか」
マグカルゴ「楽に倒せそうですな」
ドレディア「そう思いますか?」
ブースター「え、何?」
ドレディア「実はこの洞窟にも、クイタランっていう炎ポケモンが住んでるんですけど」
ブースター「そうなの? 炎ポケモンがいるんなら、わざわざ俺達がやらなくても……」
クイタラン「あっ……もしかして、あのポケモン、ブースターか?」
ブースター「ん?」
クイタラン「うわー、やっぱりブースターだ! 感激だなあこんな場所で逢えるなんて……」
ブースター「え、ああ、何?」
ドレディア「そのポケモンがクイタランです」
マグカルゴ「尿瓶みたいなポケモンだな」
クイタラン「握手してください、握手!」
ブースター「えっ、なんだよいきなり……俺ってそんなに有名だったの?」
クイタラン「はいもうすごく有名ですよー!」
ブースター「あ、そうなの、照れるねハハハ……」
クイタラン「はい、元祖不遇炎ポケモン、ブースターさん! 他の炎ポケモンが強化されても
頑なにその立ち位置を守る生き様、マジ憧れちゃいますよー!
なんていうか僕らクイタランの希望の星なんですよねー!」
ブースター「…………」
マグカルゴ「クイタランも不遇炎ポケモンなのか」
ドレディア「はい、私はランダムマッチを700回ほどやりましたが一度も見かけたことはありません」
ブースター「ドレディアさん」
ドレディア「なんですか?」
ブースター「こいつも炎ポケモンだけど滅ぼさなくていいのか」
ドレディア「いえ、クイタランは草ポケモンにとって別に脅威ではないので結構です」
クイタラン「ええっ、何失礼なこと言ってくれちゃってんですか。
大文字からの不意打ちでどんなポケモンも2ターンキルですよ」
ドレディア「ああ? ならアイアントも貴様が殲滅しろや」
クイタラン「いやあ、それは……」
ブースター「そうだよ、お前、炎ポケモンなんだろ。お前が俺達の代わりにアイアントを倒せよ」
クイタラン「え、いや、それがその……」
ドレディア「はあ……実はですね、アイアントはストーンエッジを覚えるんですよ」
マグカルゴ「なんと」
ブースター「なるほど、倒そうとしてもストーンエッジで返り討ちに合うのか」
クイタラン「返り討ちにあうどころじゃありません……
アイアントのやつら、ストーンエッジで僕の仲間を皆殺しにしようと……
そしてみんなこの洞窟から逃げてっちゃったんです」
ドレディア「そういえば他のクイタランが1人もいませんね」
クイタラン「はい、残ってるのは僕だけです」
マグカルゴ「お前も早く逃げればいいのではないのか」
クイタラン「それが……」
コジョフー「あっ、こんなとこにいたのかクイタラン!」
クイタラン「ひっ!」
コジョフー「あっちにアイアントが湧いたぞ、すぐ来てくれ」
クイタラン「もう勘弁してくださいよお……」
マグカルゴ「なるほど、アイアントを倒すために残されてるわけだな」
ブースター「貧乏くじ引いちゃったんだね」
マグカルゴ「ん、でもクイタランではアイアントを倒せないんじゃ……」
クイタラン「はい、だから僕がアイアントのサンドバッグになってる間に
コジョフーさんたちがアイアントのいないとこへ逃げるっていう……」
ブースター「うわあ……いいのかそれで」
クイタラン「いいんです、悪いのは僕たちクイタランなんですから……
僕たちがアイアントを倒さなきゃいけないのに、不甲斐ないばかりに……」
コジョフー「おい、クイタラン、この人達は誰なんだ?」
ドレディア「私たちはアイアントを殲滅しに来たんです」
コジョフー「お、マジで?」
ドレディア「アイアントは私たちにとっても恐るべき存在ですからね」
コジョフー「いやあ助かるなあ、ぜひお願いするよ」
ドレディア「はい、きっとアイアントを駆除してみせます、この二人が!」
ブースター「え?」
マグカルゴ「ドレディアさんはやらないのですかな」
ドレディア「私がアイアント相手に立ち向かえるわけないじゃないですか、それくらい分かってください」
ブースター「なんだこいつ……だいたいエッジ持ちなら俺らも無理だって」
マグカルゴ「仕方がない、彼女の特性はマイペースだからな」
ブースター「ただ自分勝手なだけだろ」
クイタラン「おふたりとも頑張ってください」
ブースター「お前も来いや」
クイタラン「えっそんな、僕無理です絶対アイアントなんて……」
ブースター「いいから来い! こうなったら道連れだ!」
コジョフー「アイアントが出たのはこっちだよ」
マグカルゴ「そんなに厄介なのですか、アイアントは」
コジョフー「ああ、天敵だったはずのクイタランを洞窟から追い出してからは、特にね」
クイタラン「すいません……」
コジョフー「この洞窟が自分たちだけのものだって顔して威張り散らして、のさばってるんだ。
アイアントに非ずばポケモンに非ず、って感じで他のポケモンを見下して」
ブースター「その中でもクイタランが一番見下されてるわけだな」
クイタラン「すいません……」
マグカルゴ「あんまりいじめてやるな……」
ブースター「コジョフーさんだっけ? あんたじゃアイアントを倒せないのか?」
コジョフー「僕らの格闘技は等倍で効きますけど、やつらは物理防御も高いんです」
ブースター「なるほど」
コジョフー「それにツバメ返しを覚えているアイアントもいて……」
ブースター「いたれりつくせりだな、アイアント……」
マグカルゴ「イッシュポケモンはそういうのが多いな」
ブースター「さすが修羅の国だ」
マグカルゴ「そんな相手なら一筋縄では行くまいな」
ブースター「なにか作戦があるのか?」
マグカルゴ「色々道具を持ってきてある。それを使おう」
ブースター「おお、用意がいいなあ」
マグカルゴ「コジョフーさんにはこのバコウの実を。ツバメ返しのダメージを半減してくれる」
コジョフー「おお、ありがとう。こんな珍しい木の実はじめて見た」
マグカルゴ「ブースターにはヨロギの実だ。エッジを耐えながら突っ込んでほのおのキバをぶちこめ」
ブースター「特攻兵かよ俺は」
マグカルゴ「クイタランにはこだわりスカーフを貸そう。素早くだいもんじを打ち込むんだ」
クイタラン「ぼ、ぼ、僕はアイアントと戦うなんて無理ですよ……」
ブースター「うるせえつべこべ言わずにやれや」
マグカルゴ「私は気合のタスキを使う。これで準備は万端だ」
コジョフー「これなら勝てそうだ、いやあ頼もしい」
マグカルゴ「よし、アイアントの出現ポイントに向かおう」
コジョフー「もうすぐだ、音を立てないで静かに行きましょう」
コジョフー「あっ、ここだよ。そこにアイアントがいるでしょ」
ブースター「確かにいるな……1匹、2匹、3匹……」
クイタラン「4匹、5匹、6匹……ちょ、ちょっと多く無いですか」
コジョフー「最近なんかすごい勢いで繁殖してて」
マグカルゴ「23匹、24匹、25匹……」
コジョフー「いま出てきてるのは全部で68匹かな」
ブースター「えええええっ、ろ、68匹!?」
コジョフー「ちょ、声が大きい!」
アイアント「ん、なんだ」
アイアント「そこに誰かいるのか」
アイアント「コジョフー共か?」
アイアント「聞いたことない声だった」
アイアント「俺達の群れに近づくとは」
アイアント「命知らずな奴もいるな」
アイアント「八つ裂きにして今日の晩飯にしよう」
アイアント「そうしようそうしよう」
クイタラン「ひいいいい!」
コジョフー「流石に68匹の相手は無理ですか?」
ブースター「無理に決まってんだろうが!」
マグカルゴ「半減実や気合のタスキがあるとは言え、耐えられるのは一撃だけだ。流石にこの大勢相手は」
ブースター「いや、クイタランのスカーフだいもんじなら……!」
クイタラン「無理無理無理無理無理無理」ガクガクガク
ブースター「おいしっかりしろ、お前しかいないんだよ!」
マグカルゴ「待て、仮に攻撃したとしても68匹を焼き払うにはPPが足りなすぎる」
ブースター「そ、そうか」
アイアント「こっちから声がする」
アイアント「今日の晩飯、今日の晩飯」
アイアント「鋼鉄のアゴでかみくだき」
アイアント「シザークロスで八つ裂きだ」
アイアント「炎ポケモンも怖くない」
アイアント「格闘ポケモンなんのその」
アイアント「なかまづくりでなまけを移し」
アイアント「はりきり物理で攻撃だ」
アイアント「虫の知らせでパワーアップ」
アイアント「怖いものなどありゃしない」
アイアント「我らが虫ポケ最強だ」
マグカルゴ「まずいな、こっちに来るぞ」
コジョフー「どうしましょう、とりあえず追い払うだけでもいいんだけど」
ブースター「追い払う……そうだ」
マグカルゴ「何か策が?」
ブースター「俺は『吠える』を覚えてる。これで奴らを追い払おう」
マグカルゴ「よし、この場は一旦それで奴らを追い払って体制を立て直すか」
コジョフー「頼んだ、ブースターさん」
ブースター「ようし、4番道路の砂漠で発揮した俺の『吠える』の威力を見ろ!」ワオーン
アイアント「ひいい、なんだなんだ!?」
アイアント「逃げろ逃げろ!なんかいるぞ!」
アイアント「うわああああ」
アイアント「巣に戻れ、巣に戻れ」
アイアント「いやああああ」
コジョフー「すごい、一目散に逃げていった!」
ブースター「へっ、どうよ……これが俺の切り札よ」
マグカルゴ「それより奴ら、『巣に戻る』と言ってたぞ。追えば巣を突き止められるんじゃないか?」
コジョフー「そうか、よしバレないように追いかけよう」
ブースター「巣を見つけてどうするんだ、殴りこみすんのか?」
マグカルゴ「とりあえず偵察だ、偵察」
コジョフー「うん、戦うためにはまず敵の内情を知らなければね」
ブースター「そうか。でもさっき出てきてたのが68匹なら、巣には何匹のアイアントが……」
クイタラン「いやああああ、想像しただけで鳥肌が……」
ブースター「ほんとうに情けないなお前は」
マグカルゴ「おい、早く来い。見失うぞ」
ブースター「はいはい」
クイタラン「あの、僕も行くんですか……」
ブースター「当たり前だろ、こうなったのもお前がアイアントに負けてるせいだろ」
クイタラン「ううう……」
コジョフー「お、そっちの角を左に曲がった」
マグカルゴ「どんどん深いとこに行くな」
ブースター「おお、アイアントたちの声が聞こえてきた」
クイタラン「このへんに巣があるんですかあ……?」
マグカルゴ「近いかも知れないな」
コジョフー「しっ! アイアントがいっぱいいる、静かにして」
ブースター「ここが巣なのか?」
コジョフー「そうみたい」
マグカルゴ「アイアントがわらわらいるな……数百はいるぞ」
クイタラン「すすす、数百……」
ブースター「おい、あの真ん中にいるのは何だ?」
コジョフー「な、なんだあれ……初めて見た」
マグカルゴ「馬鹿な、あんなものが……」
クイタラン「なんなんですか、なにがあったんですか……」
ブースター「自分の目で見てみろ」
クイタラン「見たいような、見たくないような……」
ブースター「もう、しょうがないやつだな。でっかいアイアントだよ」
クイタラン「で、でっかいアイアント……?」
マグカルゴ「多分あいつが女王アリなんだろう。普通のアイアントの10倍くらいある」
コジョフー「女王アリということは、奴を倒せば……」
マグカルゴ「アイアントの繁殖は止まるな」
マグカルゴ「スカウターで調べた結果、奴の合計種族値は640だ」
コジョフー「強いな……勝てるかな」
ブースター「俺達全員で攻撃を集中させれば勝てる。一気に突っ込んで女王アイアントを叩くぞ」
マグカルゴ「それがいいだろうな。他のアイアントの邪魔は入るだろうけど、絶対に潰されるなよ」
コジョフー「女王を潰せば、他のアイアントも戦意喪失するでしょう」
ブースター「よし、いくぞ」
クイタラン「頑張ってください……」
ブースター「お前も来るんだよ!」
クイタラン「むむむ、無理ですよ僕なんかがアイアントになんて……」
アイアント「誰か来てるのか?」
アイアント「さっき見かけた奴じゃないか?」
アイアント「自分から晩飯になりに来たか」
アイアント「飛んで火に入る夏の虫とはこのことだ」
マグカルゴ「まずいな、気づかれた」
ブースター「よし、アイアントたちは俺の『吠える』で牽制しておく、お前たちは女王を叩け」
コジョフー「分かった、やろう」
ブースター「よし、では改めて行くぞ!」
ブースター「うおおおおおおおおお」
マグカルゴ「おらああああああああ」
コジョフー「でやああああああああ」
クイタラン「がんばってー……」
ブースター「ぎやあああああああ!」
マグカルゴ「ひいいいいいいいい!」
コジョフー「のおおおおおおおお!」
クイタラン「ああう……」
ブースター「耳はっ、耳はやめてええ!」
マグカルゴ「エッジだけは、エッジだけはあああ!」
コジョフー「飛び膝蹴り避けられたあああブバッ」
クイタラン「うわあ、たいへんなことになってるよお……」
ブースター「八つ裂きにされるー!助けてー!」
マグカルゴ「こうなったらからをやぶ……うわあああ」
コジョフー「お母さーん!いやああああ!」
クイタラン「ひいいい……」
ブースター「かじらないでー!食べないでー!」
マグカルゴ「殻が割れる、割れちゃうのおおお!」
コジョフー「せめてコジョンドに……進化してから死にたかっ……ガクッ」
クイタラン「ぼ、僕だけでも逃げよう……」
ブースター「助けてくれー、クイタラーン!!」
クイタラン「はっ……」
ブースター「そこにいるんだろ、クイタラン!! もうお前しかいないんだー!」
クイタラン「でもっ、僕なんかじゃ……」
ブースター「お前このままでいいのかよ! このままじゃずっとアイアントのサンドバッグだぞ!」
クイタラン「うっ……」
ブースター「お前はたしかに俺みたいな不遇炎ポケモンかもしれない! でもな!」
クイタラン「……」
ブースター「弱くても戦うことはできるだろう!」
クイタラン「ブースターさん……」
ブースター「俺たちを助けてくれ、クイタラン!!」
クイタラン「そうだ……僕だって……僕だって戦えるんだ……
だいもんじもあるし……このこだわりスカーフだって……!!」
アイアント「何だ、まだもう一匹居るのか」
アイアント「今日の晩飯は豪勢になりそうだな」
アイアント「久々に腹いっぱい食えらぁ」
クイタラン「う、うおおおおおおおおおお!!」
アイアント「なんだ、誰かと思ったらクイタランじゃないか」
アイアント「またサンドバッグになりに……は、速い!?」
アイアント「なんだこのスピードは……うぎゃああ!!」
クイタラン「僕だってやれる、やれるんだ!」
ブースター「クイタラン、来てくれたのか……」
マグカルゴ「信じていたよ、きっと戦ってくれるってね」
コジョフー「頑張れクイタラン、汚名返上だ」
アイアント「奴を止めろ!女王には近づかせるな!」
アイアント「ストーンエッジ!」
アイアント「くそ、速すぎる!追いつけない!」
クイタラン「だいもんじ!」
アイアント「ぎゃあああああああ!」
アイアント「うぼぼぼぼぼぼ」
女王「お前たち、何をしている。私を守りなさい!」
アイアント「しかし奴を止められ……うわああ!」
アイアント「燃えるうううう!」
アイアント「じょ、女王さまー!」
クイタラン「だいもーんじ!」
女王「ぎゃああああああああ!!!」
マグカルゴ「こうして激しい戦いの末にアイアントを殲滅したのであった」
コジョフー「いやあ、ありがとう。これで大手を振って洞窟を歩けるよ」
ブースター「俺達は何もしてないよ。頑張ったのはこいつだ」
クイタラン「いやっ、そんな……僕こそ何も……」
ブースター「謙遜するなって。お前がいなかったら俺たちみんな晩飯になってたんだから」
クイタラン「でも全部こだわりスカーフのおかげですから……」
マグカルゴ「大事なのは道具の強さじゃない。それをどう使うかだよ」
ブースター「まあこれを機にお前も弱虫を克服することだな」
コジョフー「いやあ、それにしても女王アイアントは恐ろしかったね」
マグカルゴ「あんなポケモンがいるとはな」
ブースター「女王のポケモンか、世界は広いな」
ドレディア「オボンの実うめえ……あ、やっと帰ってきた。遅かったですね、アイアント殲滅できたんですか?」
ブースター「女王のポケモンここにもいたわ」
マグカルゴ「ああ」
コジョフー「えっ、何そのオチ」
ブースター「で、次はどこに行くんだ」
ドレディア「ポケモンリーグに殴り込みをかけます」
ブースター「四天王に炎使いでもいるのか」
ドレディア「そういうわけではありませんが、チャンピオンのアデクが」
マグカルゴ「ウルガモス……か」
ドレディア「あら、よくご存じで」
マグカルゴ「まあ、ちょっとな」
ブースター「ウルガモス? どんなポケモンなんだ」
ドレディア「炎虫の550族です。さらに蝶の舞というチート積み技を使います、草タイプの敵です」
ブースター「炎虫って、草タイプに対抗するためだけに生まれたようなポケモンだな」
ドレディア「はい、こんなポケモンの存在自体許せることじゃありません」
ブースター「じゃあそのウルガモスを潰せばいいんだな」
ドレディア「はい、これが私たちの最後の戦いになります」
マグカルゴ「…………」
「ハァーイwwwwwアナタたちーwwwwwwちょっとストップしてちょうだいネーwwwwwwwwwwwww」
ドレディア「な、なんですか?」
ブースター「あんた……バシャーモ?」
バシャーモ「ハァーイ、イカにもバシャーモでぇーすwwwwwww」
マグカルゴ「バシャーモが、何の用だ?」
バシャーモ「アナタたちー、炎ポケモンを殺して回ってるそうですネーwwww知ってますヨーwwwww」
ドレディア「あなたには関係の無いことでしょう、放っておいてください」
ブースター「まあ待て、もしかしたらこのバシャーモも俺達の仲間になりに来たのかも」
ドレディア「え、どういうことです?」
ブースター「バシャーモといえばゴウカザルの劣化、つまりクイタランのような不遇炎ポケモン」
マグカルゴ「ふむ、自分の地位を上げるため我々と一緒にイッシュの強い炎ポケモンを殲滅したいと」
ブースター「そうそう」
バシャーモ「NOOOOOO!!!NOOO!!NOOOOO!!!そんなわけナイでぇーす!!
その考え方とてもナンセーンス!! 許されることじゃないネーwwwwwww」
ブースター「ああん?」
バシャーモ「ワタシはアナタたちを倒しにきたんデェースwwwwwwwww
炎ポケモンたちを自分勝手に殺すの許せナーイです!!!」
ブースター「倒せるもんなら倒してみろよ、この猿の劣化ー」
ドレディア「早く行きましょうよ、こんなの相手にしてないで」
マグカルゴ「まあいいじゃないか、ウルガモスと戦う前の肩慣らしになる」
バシャーモ「ムキーwww侮辱の数々ムカツクねー!!オマエたちコロスよー!」
ブースター「じゃあやられるまえにやってやる、くらえ炎物理最強のばかぢから!!」
バシャーモ「フーンwwwww遅いねーwwwwwwwww」スッ
ブースター「なっ、避けられた? ならもう一度……」
バシャーモ「フーンwwwwwwフーンwwwwwwwフーンwwwwwwww」ヒョイヒョイ
ブースター「くそっ、なんでだ!なんだこのスピードは……」
ドレディア「バシャーモとはあんなに素早いポケモンなのですか?」
マグカルゴ「いや、素早さは決して高くはないはずだ……なぜこんなスピードが……」
バシャーモ「ハッハッハァーwwwwwwワタシはこのイッシュでえーwwwwwww」ヒュンヒュンヒュン
ブースター「さらにスピードを上げた!」
バシャーモ「新しい力wwwwww『加速』を手に入れたのデェーすwwwwwwwwwwwww」ヒュンヒュンヒュン
マグカルゴ「馬鹿な、加速だと……?」
ブースター「じゃあ電光石火で……!」
バシャーモ「遅い遅い遅い遅いですネェェェェェェwwwwwwwwwww」
ブースター「くっ……」
バシャーモ「アナタさっきなんて言いましたっけーwwwwwwww」
ブースター「目が追いつかない……」
バシャーモ「炎物理最強ですってーwwwwノンノンノンwwwwwwwwww」
ドレディア「こちらも素早さを上げましょう、こだわりスカーフはないんですか?」
バシャーモ「炎物理最強はこのワタシ、加速バシャーモなぁのデェースwwwwwwwwwwww」
マグカルゴ「こだわりスカーフ、クイタランに貸したままだ……」
バシャーモ「スカァァァァイwwwwwwアッパーァァァァwwwwwwwwww」
ブースター「ぶおぁぁぁっ!!」
バシャーモ「一発ノックダウンですカァーwww張り合いがないですねェーwwwwwんじゃお次はwwwwww」
マグカルゴ「うっ……ドレディア、なにかないのか、奴を止める技は」
ドレディア「ね、眠りごな!」ぶわぁっ
バシャーモ「ぐーぐーwwwwwwグッドスリーピンデェースwwwwwww」ヒュンヒュンヒュン
マグカルゴ「馬鹿な、寝ながら加速しているだと!?」
ドレディア「眠らせてもとめられないなんて」
ブースター「くそ、こんなチート炎ポケモンがいたとは……」
ドレディア「いえ、でもこれは逆にチャンスです」
ブースター「何?」
ドレディア「私の使命は草ポケモンを脅かす全ての炎ポケモンを滅ぼすこと……そして、
この加速バシャーモは、まさしく草ポケモンの敵!!」
バシャーモ「ポケモーニンwwwwいい夢見てましターwwwwwゴウカザルが吠え面かく夢デェースwwwwww」
ドレディア「というわけで頑張って倒してください」
ブースター「無理無理無理無理」
バシャーモ「サアーwwww次はマグカルゴ倒しマースwwwwそのデカイ殻にスカイアッパーンwwwwww」
マグカルゴ「ひいいっ!」
ドレディア「ううっ……誰かあのバシャーモを止められないの……」
「しんそく!!」
バシャーモ「うぼおっ!?」
バシャーモ「カマセイヌー……」ガクッ
エンテイ「ふっ……しんそく一撃でダウンか。鍛え方が足りないな」
ブースター「え、エンテイさん……なんでここに」
エンテイ「ブースター君のことが心配で来たんだよ。イッシュなんて修羅の国に行くから不安で」
ブースター「……」
エンテイ「そうしたら案の定、傷だらけになっちゃってるし」
ブースター「これはただ奇襲をくらってこうなっただけっすよ」
エンテイ「もういいだろう、一緒に帰ろう。ヒヒダルマを滅ぼすなんてバカな真似はやめて」
ブースター「あ、それはもうやったっす」
エンテイ「もう成し遂げたの!?」
ブースター「ドレディアのおかげで」
エンテイ「ドレディア……?」
ドレディア「エンテイさん、ですよね。ブースターさんを勝手に連れ帰らないでください、彼は私の協力者ですよ」
ブースター「そういうことです、エンテイさん、俺はまだ帰るわけに行かないんス」
エンテイ「…………」
ドレディア「まああとはウルガモスを倒すだけなんですがね」
エンテイ「そうか……分かった。なら俺も一緒に行こう」
ブースター「え、いいんすか?」
エンテイ「ああ、俺も手伝ったほうが早く帰れるだろ。それに俺達は仲間じゃないか」
ブースター「エンテイさん……」
エンテイ「で、そのウルガモスというのはどこにいるのかな?」
ドレディア「イッシュリーグのチャンピオンが持っています」
エンテイ「ほー、チャンピオンか、それは楽しみだな」
マグカルゴ「伝説のポケモンが仲間に入って心強いな」
ドレディア「でもエンテイじゃねえ、不遇伝説じゃないですか」
マグカルゴ「いや、彼はフレアドライブを習得して不遇からは脱したが」
ドレディア「え、そうなんですか? じゃあ殺したほうがいいですね」
エンテイ「ん、なにか言った?」
ドレディア「いえー……なんでもないですよ……」
マグカルゴ「怖いな、あんた」
ポケモンリーグ。
ブースター「ちょうど4人だな」
ドレディア「それがどうかしたんですか?」
ブースター「いや、ひとりずつ分散して四天王倒せるなあって」
ドレディア「いちいちそんなことしませんよ、私たちはトレーナーじゃなくただのポケモンなんです」
ブースター「えっ、じゃあどうするんだ?」
ドレディア「門番をねむりごなで眠らせて、そのすきにチャンピオンの間に行きましょう」
エンテイ「いいのか、それは」
ドレディア「大丈夫です、わたしの眠りごなはホエルオーすら永眠させます」
エンテイ「それは頼もしいな」
ブースター「いや、それはダメだ……」
マグカルゴ「やってくれ、ドレディア。私は早くウルガモスと戦いたい」
ドレディア「はいはいー」ぶわわわわ
ブースター「マグカルゴ……もしかしてあんたの復讐の相手って」
マグカルゴ「ああ、ウルガモスさ」
門番「な、なんだこの粉は……うっ、ぐぐがっ……」
門番「息ができなっ……あっ……ぐあっあっ……」
ドレディア「よーし、行きましょう」
エンテイ「嫌な断末魔が聞こえたぞ」
マグカルゴ「ウルガモスは私の仲間を殺したんだ」
ブースター「どういうことだ?」
マグカルゴ「私の仲間は『ほのおのからだ』という特性でトレーナーたちに重宝されていたんだ」
マグカルゴ「イッシュにはマグカルゴが現れないと聞いた私の仲間たちは」
マグカルゴ「新たな仕事の場を求めてこのイッシュにやってきたんだ」
マグカルゴ「しかし……しかしだ! イッシュのトレーナーはマグカルゴに見向きもしなかった!」
マグカルゴ「みんなウルガモスを使っていたんだ! 私と同じ特性を持ち、さらに空をとぶまで覚える便利なポケモンだ!」
マグカルゴ「夢の潰えたマグカルゴたちは、あてどなくイッシュを彷徨い……恐ろしいポケモンたちに襲われて死んだ」
マグカルゴ「マグカルゴたちを襲ったのは誰あろうウルガモスなんだ!」
マグカルゴ「空を飛べない炎の体持ちのポケモンをあざけり、もてあそび、面白がって殺したんだ」
マグカルゴ「それを知ったのはつい最近、イッシュから帰ってきた仲間にこの話を聞いてから……」
マグカルゴ「私は憎しみにかられ、事の真相を探った……」
マグカルゴ「そして分かったんだ、仲間たちを殺したウルガモスのリーダーが」
マグカルゴ「イッシュチャンピオン、アデクの使うウルガモスだってな」
ブースター「な……」
マグカルゴ「ウルガモスは孵化に重宝されてポケモンの母のような顔をしているが」
マグカルゴ「その実はとんでもなく腹黒なポケモンだ」
マグカルゴ「華やかな羽でごまかされてるが顔なんかどう見ても悪人面だ」
マグカルゴ「私は誓ったんだ、この手で仲間のカタキを討つってな」
マグカルゴ「それももうすぐ達成できる、この手で……ウルガモスを」
ブースター「マグカルゴ……」
ドレディア「ブースターさん、マグカルゴさん!」
ブースター「あっ、おう」
ドレディア「何やってるんですか、早く行きますよ、門番起きちゃいますよ」
エンテイ「いやあ、これはあと十年ほど起きそうにないぞ」
ブースター「分かってる、今行く」
ブースター「おいおい、まさかこの階段を登らなきゃいけないのか?」
ドレディア「噂には聞いてましたが、これは大変ですね」
エンテイ「エスカレーター付けろよな」
マグカルゴ「チャンピオンは毎日ここを登ってるんだろうか」
ブースター「まあうだうだ言ってても仕方ない、行こう」
ドレディア「エンテイさん、背中に乗っけてってくれませんか?」
エンテイ「ええ、自分で歩きなよ。みんなもそうするんだから」
ドレディア「ねむりごな……」
エンテイ「どうぞ……お乗りください」
ブースター「エンテイさん大変っすね(笑)」
マグカルゴ「もう少しだ……少しで……」
アデク「あー、ヒマじゃのー……なんか面白いコトねっかなー……」ほじほじ
ウルガモス「じゃあ、また私の鱗粉でトリップしてみなぁい?」
アデク「おー、そりゃあええのう……あひひ」
ウルガモス「うふふ」
ブースター「たのもーう!!」
アデク「うお、なんじゃ?」
ドレディア「チャンピオンのウルガモスを倒しに来ました」
マグカルゴ「うけていただくぞ、我々の挑戦」
エンテイ「お邪魔しますー」
ウルガモス「あら、マグカルゴ……まだイッシュに残っていたの? 時代遅れの使えないポケモン」
マグカルゴ「貴様……!そんなふうにして仲間を」
ウルガモス「もう覚えてないわあ」
マグカルゴ「くっ……!」
アデク「挑戦ねえ、まあ暇だったし構わんよ。ほれウルガモス、あのポケモンたちを倒せ」
ウルガモス「はぁい♪」
ドレディア「くらいなさい、ねむりごなー!」ぶわわわ
ウルガモス「そんなの効かないわぁ、『ぼうふう』!」ブワァァァァァ
ブースター「ぎゃあああああ! 風で眠りごなが拡散されるー!」
エンテイ「逃げろー、吸ったら死ぬぞー!」
ウルガモス「あははは、馬鹿みたい!」ブワァァァァァァ
アデク「すっ……んぐっ……ぐはっ……」バタッ
ブースター「チャンピオンが吸ったぞー!」
ウルガモス「あらあら、アデクちゃんったらたおれちゃったの……でもいいわ、そのほうが自由に戦えるものね」
マグカルゴ「貴様、自分の主人が倒れてもなんとも思わないのか」
ウルガモス「こんなヘタレのオッサン、主人なんて認めたくないわあ」
マグカルゴ「お前という奴は、どこまでも腐っているな」
ウルガモス「あなたみたいな時代遅れには言われたくないわねえ」
マグカルゴ「時代遅れかどうかはこれを見てから決めろ……俺は修行の末に新たな技を身につけた」
ウルガモス「あら、何かしら」
マグカルゴ「からをやぶる!」
ブースター「からをやぶる?」
マグカルゴ「これで防御を犠牲にしてスピードと攻撃が2倍になる!うおおお!」
ウルガモス「くだらない、くだらないわねえ、そんな小手先の技で」
マグカルゴ「くらうがいい、げんしのちから!」
ウルガモス「特殊技なんて私には通じないわあ……ちょうのまい」
ドレディア「蝶の舞! 特攻、特防、素早さを同時に上げるチート技ですよ」
マグカルゴ「何……!」
ウルガモス「あなたの技なんて痛くも痒くもないわあ。孵化でも時代遅れ、バトルでも使えない、救いようのないポケモンね」
マグカルゴ「くうっ……」
ウルガモス「死んでしまいなさい、おまえたちの仲間のように……むしのさざめき!」
マグカルゴ「うわあああああっ!!」
ブースター「マグカルゴ!!」
マグカルゴ「うっ……ここまでなのか、俺の復讐は……」
ウルガモス「あとの3匹もまとめて片付けてあげるわあ。ぼうふう!」
ドレディア「きゃああああ!!」
ブースター「ドレディアー!」
ウルガモス「草ポケモンの分際で私に歯向かおうなんて100万光年速いのよ!」
ドレディア「ううっ、うう……」
ブースター「しっかりしろ、ドレディア!」
ドレディア「ブースターさん、私の代わりに、あいつを……たおし……」
ブースター「ドレディア!」
ウルガモス「さあ次は貴方たちよ!」
エンテイ「ううっ、暴風がスゴイ……近寄ることすら出来ない」
ブースター「神速で突っ切れないっすか?」
エンテイ「わかった、やってみよう。神速!」バッ
ウルガモス「無駄よ無駄無駄!この暴風はすべてのポケモンを吹き飛ばせるのよ」ブワァァァァァ
エンテイ「ぐああああっ!!」
ブースター「え、エンテイさん……」
ウルガモス「あとはあなただけねえ」
ブースター「くっ……」
ブースター(どうする? どうすればいい?)
ブースター(エンテイさんの神速じゃ無理だった……なら俺の電光石火でも……)
ブースター(こうなったら吠えるを使うか? いや使ったところで……)
ブースター(無闇に突っ込んでも、あの暴風でダメージを受けるだけだし……)
ブースター(万一攻撃を入れられたとしても、馬鹿力は半減!)
ブースター(ほのおのキバ(威力65)じゃ明らかに火力が足りなすぎる!)
ブースター(もう、手詰まりか……)
ウルガモス「ふふ、いいわねえその顔……絶望をたたえた表情」
ブースター「くっ……」
ウルガモス「あのカタツムリさんたちも、そういえばそんな顔してたっけ」
マグカルゴ「き、貴様……」
ウルガモス「あなたもその顔のままで倒れ伏すといいわ。暴風!」
ブースター「うがあああああっ!!」
ブースター(終わる……終わるのか……ここで……)
ブースター(炎物理最強の座を目指した俺の旅は……)
「炎物理最強の座を奪い返すという大きな目標があるんだ」
「あの、良かったら手伝っていただけませんか? あなたもヒヒダルマを殲滅しようとしてたんですよね」
「まかせとけ、フレドラは撃てないが吠えるには自信がある」
「なるほど……特殊型とは言え、そこまで強い炎ポケモンがいると俺の地位も脅かされるな」
「シャンデラの体が光りに包まれて……いや、周りのヒトモシたちも」
「特性マイペースなもので。常に自分のペースで生きていたいんです」
「うわー、やっぱりブースターだ! 感激だなあこんな場所で逢えるなんて……」
「多分あいつが女王アリなんだろう。普通のアイアントの10倍くらいある」
「俺たちを助けてくれ、クイタラン!!」
「ムキーwww侮辱の数々ムカツクねー!!オマエたちコロスよー!」
ブースター(う……今までの旅の思い出が走馬灯のように蘇ってくる)
ブースター(俺はもしかしてここで死ぬのか……)
ブースター(ダルマッカを大虐殺した罰が当たったのかな……)
ドレディア「大丈夫です……ブースターさんは、まだ死にません」
ブースター「ドレディア……」
ドレディア「あなたはもう一度、たちあがれますよ」
ブースター「……おい、まさか」
ドレディア「私の代わりに、あのウルガモスを倒してください」
ブースター「おい、やめろ!そんな状態で使ったら、お前の体が」
ドレディア「いいんです、ブースターさんのためなら」
ブースター「でもっ……!」
ドレディア「今まで一緒に旅をしてくれてありがとうございました」
ブースター「おい、ドレディア、やめろ、もういいんだ!」
ドレディア「ふふ、何を言われたってやめませんよ、私は特性マイペースなんです」
ブースター「やめろ……!」
ドレディア「私のやりたいことをやるだけですよ」
ブースター「ドレディア……!」
ドレディア「いやしのねがい!」
ブースター「ああああああああ」
ブースター「くっ……ドレディア……」
ウルガモス「あら、まだ立ち上がれるの?」
ブースター「お前の遺志は無駄にはしない、奴は俺が倒してみせる!」
マグカルゴ「ブースター……」
ブースター「マグカルゴ! あまり喋るな、体力がもたんぞ」
マグカルゴ「これを使え……」
ブースター「これは……?」
マグカルゴ「気合のタスキだ……奴の攻撃を一撃なら耐えられる」
ブースター「マグカルゴ……ありがとう」
マグカルゴ「俺の復讐も、お前に預ける……奴を倒してくれ」
ブースター「分かった、俺が必ず……!」
ウルガモス「あなたには私を倒せないわよお。まともな物理技も持ってないくせにい」
ブースター「くっ……!」
ブースター(そうだ、たしかにそうだ……いやしのねがいで復活しても)
ブースター(気合のタスキで攻撃を耐えても、あいつを倒せない……)
エンテイ「そんなしけた顔するなよ」
ブースター「エンテイさん……?」
ウルガモス「あらあら、こっちの子もまだ元気だったのね」
エンテイ「仮にも俺は唯一神の名で呼ばれた男だよ。一撃で倒されちゃ名がすたるさ」
ウルガモス「ふん、なかなか面白い子ねえ。で、どうするというのかしら?」
エンテイ「唯一神と唯一王のコンビをなめないでいただきたいねえ」
ウルガモス「言っておくけどあなたたちがダウンしてる間に私は蝶の舞6回積んだから」
ブースター「ええええええええええええええ」
エンテイ「大丈夫だよ、ブースター。俺の背中に乗れ」
ブースター「何か策があるんすか?」ひょいっ
エンテイ「よし、乗ったか……うくっ」がくり
ブースター「エンテイさん!?」
エンテイ「ふん、大丈夫だ……さっき受けたダメージが響いてるだけさ」
ブースター「無理しないでください、エンテイさん!」
エンテイ「大丈夫だ、約束したろ、一緒に帰るって」
エンテイ「しっかり捕まってろお……神速!!」
ブースター「くっ!」
ブースターを背に載せたエンテイが
超高速でウルガモスへと跳びかかる!!
ウルガモス「おばかね、そんなの無駄よ無駄! 暴風!」ブワァァァァァ
エンテイ「うおおおおおおお、フレアドライブ!!」
ウルガモス「何っ?」
ブースター「エンテイさん、最初からこのつもりでっ」
エンテイ「行けっ、ブースター! 奴にほのおのキバを食らわせてやれ!」
ブースター「はいっ!」
エンテイ「飛べよおおおおおお!」
ブースター「うおおおおおおおおおおお!」
ウルガモス「そ、そんなっことがっ!」
エンテイのフレアドライブにより『貰い火』が発動し
強化されたブースターのほのおのキバ!!!!!
気合のタスキで暴風もものともせずに
ついにウルガモスへと喰らいつく!!!!!
ブースター「俺より強い炎ポケモンはみんな消えてなくなれええええええ!!」
ウルガモス「うぎゃああああああああああああああああああああああ」
ウルガモス「ああああああああああああああああああああ」
ウルガモス「ああああああああああああああ」
ウルガモス「あああああああああああ」
ウルガモス「あああああ……」
ウルガモス「うぐ……」
ウルガモス「がくり」
マグカルゴ「やった……のか……」
ブースター「ああ、やったよ……ついに倒したよ、ウルガモスを……」
エンテイ「やったな、ブースター……それでこそ唯一王だ」
ブースター「エンテイさん、言っときますけど唯一王とか唯一神ってイヤミですよ」
エンテイ「えっ!?」
ドレディア「オボンの実うめえ……あ、終わりました?」
ブースター「オマエは……」
ヒウンの港。
ドレディア「ブースターさん、エンテイさん、ご協力ありがとうございました」
マグカルゴ「俺からも礼を言う。みんながいなかったら、俺もウルガモスの餌食になってた」
ブースター「いやいや、そんな礼を言われるほどのことはしてないよ」
エンテイ「こういう時は謙遜しなくていいんだよブースター君」
ブースター「そういえばヤグルマの森で草ポケと虫ポケが戦ってるって言ってたけど……」 注:>>42
ドレディア「ああ、草ポケ側が大敗を喫したそうです」
ブースター「だろうな……」
ドレディア「ビリジオンまで駆りだして……向こうペンドラー5匹って……」ブツブツ
ブースター「マグカルゴはこれからどうするんだ?」
マグカルゴ「そうだな、のんびりイッシュを回ってみようと思う」
ブースター「他のウルガモスにやられないようにな」
マグカルゴ「大丈夫だ。あのアデクのウルガモスが消えたせいで、他のウルガモスもおとなしくなったらしい」
ブースター「そうかい、ならよかった」
エンテイ「おっと、そろそろ船の時間だよ」
ブースター「そうすか、じゃあこれでお別れだな」
ドレディア「またイッシュに来てくださいね、お二人のような炎ポケモンなら私たち草ポケモンも歓迎します」
マグカルゴ「私もまた会えることを祈るよ」
ブースター「ああ、じゃあな。きっとまた会おう」
エンテイ「ジョウトにも遊びに来てくれたまえ。エンジュシティで待っているからね」
ドレディア「はい、いつかきっと」
マグカルゴ「イッシュの旅が終わったら立ち寄らせてもらうよ」
(出航)
ブースター「じゃあなー、元気でなー」
ドレディア「さよーならー」
マグカルゴ「また会う日までー」
エンテイ「ああ、忘れたっ」
ブースター「えっ、何を?」
エンテイ「イッシュ土産!」
ブースター「実は買ってあるんスよ」
エンテイ「おお、本当か。気がきく奴だ君は」
ブースター「イッシュ名物ハートスイーツです、ほら」
エンテイ「ん……? なんかべとべとになってるぞ」
ブースター「あ、しまった。俺の体温で溶けちゃったんすね……」
エンテイ「君は気が回らない奴だな……」
ブースター「まあいいじゃないですか、そんな瑣末なこと、ねえ」
エンテイ「そういう問題かね」
ブースター「俺は今気分がいいんですよ、にっくきヒヒダルマを殲滅できましたしね」
エンテイ「それは良かったね……」
テレビ『ハァーイwwwwイッシュ七不思議のコーナーでェーすwwwwww
今日はリゾートデザートのヒヒダルマ像wwwwwwwwwwwwwwww
ここにいかりまんじゅうをそなえるとーwwwwwwワアアアアアアオwwwwwwww
ヒヒダルマになって動き出しマシタネーwwwwwwwwww』
エンテイ「まだいるんじゃないか……」
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